全爀林

  • 名前 全爀林
  • 出生・死亡 1916-2010
  • 代表作 「花鳥図」、「魚紋盤」、「運河橋」、「鶴柱」、「蝶と静物」、「窓」

受賞経歴

  • 一脈文化賞
  • 月刊美術世界の創刊20周年記念文化賞

年譜及び主要経歴

  • 1916年、慶南統営生まれ
  • 慶尚南道美術大展大会長を歴任(3年)
  • 独立記念館建立の募金のための招待展
  • 現代作家招待展1980~1990年(国立現代美術館)
  • 木彫刻個人展及び陶磁器発表展
  • ニューヨーク個人展(スペースギャラリー)
  • 東京アートフェアに出品(日本東京)
  • 芸術の殿堂全館開館の記念展
  • サンギャラリー招待の全爀林個人展(ソウル)
  • 釜山空間ギャラリー招待の全爀林個人展
  • フランスユネスコミロ美術館招待の韓国色の神秘展に出品
  • 朝鮮日報美術館個人展(朝鮮日報社)
  • 中央日報主催の全爀林個人展(湖岩ギャラリー)
  • 東亜日報主催のイルミン文化館開館記念招待個人展
  • 馬山文化放送招待の全爀林作品展
  • 国立現代美術館選定の2002年今年の作家に選定
  • 魚紋盤

    魚紋盤

  • 運河橋

    運河橋

  • 鶴柱

    鶴柱

  • 花鳥図

    花鳥図

  • 蝶と静物

    蝶と静物

  • 静物

    静物

  • 窓

作品世界

全爀林作品の特性

韓国文化への関心と故郷のイメージ

約60年にわたる彼の作品全体において最も大きな特徴は、作品の主題が韓国の伝統的な文化への関心から始まったという点である。初期の陶器作業で現われる伝統的な形、文様、静物に登場する各種の器物、ひいて丹青に影響された鮮やかな色彩などは、彼の関心の根底に何が流れているかをうかがわせる直接の要素である。また、彼の静物作業は朝鮮時代民画の本街絵または民画の花鳥図を見ているような物事の構成を表している。このような主題意識の背景には韓国文化への関心をいかに作業に反映するかに対する造形的な方法を探る努力がある。

彼の作品に現われているもう一つの主題は「故郷」である。全爀林は過去数十年間、統営、釜山、馬山といった地域で海を守る灯台のように、まるで牛神のように生きてきた。そのため彼が画く風景には海が圧倒的に多い。常に見てきた海を表すのに必要な要素は、単に押し寄せる波に代表される薄っぺらな様子ではなかった。海の青色、海と関連するあらゆるものを通じて海の風景を練り上げたことが分かる。写実主義の技法で海を表すわけではないこそ、彼ならではの隠喩的な表現が可能であったのだ。

自然から与えられた印象が作家が表現しなければならない課題であったため、彼は最も強力で効果的な手段でそれを表現しているだけかも知れない。そのようなことから、たとえ彼の作品が抽象的に見えても、彼は自ら「抽象画家」、または逆に具象的に見えるといって「具象画家」と呼ばれたがらないだろう。

韓国の伝統文化に対する関心と故郷の海を見て受けた印象を基に、そこから取り出した純粋造形に対する探求が彼の作品の傾向を決定づける主な要因であった。これは、さらに後期の抽象的な画面について述べる際にも同じく適用される。後期作品の場合、西洋美術からの具象と抽象という二分法的な論理ではなく、自分だけの独特な造形実験を反映したものと解釈できる。心の中に潜在している形像や自然から与えられた感じを表すために、様々な対象を変形、解体、組立てることで自分だけの造形言語で作り上げていくのである。

色彩の魔術使

よく全爀林の作品について論じる上で、最も重要な特徴の一つは色彩である。

彼は南東の燦爛たる太陽の下でものの色を認知した。そして、その感じを表す上で、我々は全爀林が引導する色を通じて対象に対して、または自然に対して新しい感情を感じることができる。これで彼は我々にある幻想を感じさせ、現実を越えた夢を見させる。確かに、彼は自分が作り上げた色を通じた想像力の喚起作用について知っており、最近の作品ではさらにその意図を隠すことがない。最近の作品の中で、韓国の風物、韓国の幻想(コリアファンタジー)のような主題にこだわっているのがまさにその例である。

全爀林は、自分を取り巻く世界と自分の思考が会う接点として色を使っている。鮮明な色彩(青、赤、黄色、白、緑)に代弁される彼の作品は自然の描写に留まらない。色の構成が問題だ。

絵の各部分で独特な色の処理が見られ、それが糸口となって他の部分を支配する。色の楽しい調和は画面を有機的に構成する配合の原理を引き出す。

初期の作品は微妙な色彩を誘導する細かい筆使いと調和して華やかな画面となっているが、後期の作品にいくうちに段々鮮明な色に絞られる。このような色の駆使は、実は韓国の伝統文化に影響された面が少なくない。彼はよく民画や丹青などに見られる色感に魅了されたと話していた。

我々の記憶の中に鮮明に自覚されている鮮やかな色が画面に表出され、彼の造形世界から吹き出される色彩は不慣れなものではなく、とても親しみのあるものである。

作品所蔵

国立現代美術館、最高裁、釜山市役所、釜山地方検察庁、慶南道庁、統営市役所、湖岸ギャラリー、東亜日報、イルミン記念館、イヨン美術館、仁川地方検察庁、水原地方裁判所、昌原地方裁判所、統営地方裁判所、昌原地方検察庁、統営支庁



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